正常皮膚メラノサイト
1.ご案内皮膚メラノサイトは表皮の最下層に存在し、 紫外線を吸収して皮膚を守るメラニン色素を産生します。本細胞は、 皮膚表皮組織より調製した正常メラノサイトであり、凍結状態で分譲しています。 細胞の性状としてドーパ反応によるチロシナーゼ活性の存在、 及びメラノサイト特異的細胞マーカーを確認しています(図2、図3参照)。 メラニン産生に関する研究、紫外線による炎症研究、化粧品の開発研究等に有用な研究資源です。 |
資源番号 | 提供者 | 細胞数/本 | 解凍直後の生存率(*1) | 本数 |
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HT47250950-M | 女性(幼児) | 7.6 x 105 | 90% | 16本 |
HT1700-M(*2) | 男性(幼児) | 8.5 x 105 | 96% | 21本 |
HT2356-M | 女性(幼児) | 8.3 x 105 | 61% | 25本 |
HT0723-M | 女性(幼児) | 2.1 x 106 | 91% | 12本 |
HT73641231-M | 男性(幼児) | 8.1 x 105 | 86% | 18本 |
HT78827813-M | 女性(幼児) | 9.0 x 105 | 88% | 19本 |
(*1)バイアルを微温湯で解凍した直後にトリパンブルー染色し、計数した細胞数から求めた数値です。
解凍翌日の生存率・接着率はこの数値より低下いたします。メラノサイトは凍結融解に弱いため、
解凍翌日にはかなり多数の細胞が死滅します。
現在のロットの推奨培地は、MGM-4 + 0.1μM endothelin-3(Lonza)です。
(*2)TYRP-1免疫抗体染色の結果は陽性を示しますが、DOPA反応が認められる細胞の割合は極めて少なく、細胞ペレットは白色を示します。
- 日本人
- 多指症の形成外科手術で摘出された余剰皮膚組織
- HCV、梅毒の検査結果は陰性
- 遺伝子解析研究への利用は不可
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細胞分離処理(dispase II処理、表皮・真皮分離)
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表皮
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細胞分散(0.25% トリプシン / 0.02% EDTA 処理)
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表皮角化細胞と共にフラスコへの細胞播種
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初回継代時0.25% トリプシン / 0.02% EDTAによる差時剥離法によりメラノサイトを分離
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MGM-4 + endothelin-3にて培養。0.25% トリプシン / 0.02% EDTAで継代、Geneticin処理による線維芽細胞除去
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セルバンカー 1に懸濁
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プログラミングフリーザーにて緩慢凍結
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液体窒素タンクに保管
5.細胞の性状検査
- 使用機材
- 培養培地:MGM-4 BulletKit(Lonza, Code No.: CC-3249)
- 培養器質:付着細胞培養用プラスチックディッシュ/フラスコ/マルチウェルプレート、またはtype I collagenコートチャンバースライド(IWAKI Code No.: 4722-010; 免疫染色時)
- DOPA試薬: 0.1% 3-(3,4-dihydroxyphenyl)-L-alanine(和光純薬 Code No.: 047-30541) in PBS(-)
- 免疫染色抗体:TYRP1 マウス・モノクローナル抗体(Novus Biological社 Code No.:NBP2-32906, clone TA99; 1/200希釈)
- 解凍直後の全細胞数、生細胞数: トリパンブルー色素排除法
- 増殖確認(図1)
- DOPA反応陽性の確認(図2)
- 細胞マーカー(Tyrosinase-related protein 1(TYRP1, 別名Mel5)の発現確認(図3)
- 微生物汚染検査(細菌・真菌・マイコプラズマ): 陰性を確認
【図1】解凍後の細胞増殖 | |
培養1日後 | 培養5日後 |
【図2】DOPA反応 | |
【図3】TYRP1免疫抗体染色 | |
多指症由来皮膚組織からの細胞調製と研究資源化について、誌上報告を行っております。
合わせてご参照下さい ([JSTAGE] )。
Nozomi Sugihara, Motonobu Satoh, Takuo Kosaka, Aya Kasamatsu-onishi, Akifumi Matsuyama, Shin Enosawa, Makoto Hikosaka, Tsuyoshi Kaneko, Arihiro Kohara
Preparation of Multiple Cell Types as Research Resources from Surplus Tissues Derived from Surgery for Polydactyly.
AATEX 22(2), 155-166, 2017